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【浪曲解説】五郎とその母

浪曲解説

 

五郎とその母

口演・浜乃一舟 三味線・東家 美

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浪曲は「泣かせ」の要素が強い。俗に言うお涙頂戴。

主人公を不幸のどん底に叩き落し、これでもかと悲しみを煽る。そんな話が結構ある。

また、不幸な主人公が、人の情けに触れて幸福になる。あー、人間っていいもんだ。ほのぼのした雰囲気と、安堵の気持ちで、思わず零れる涙の話もある。涙の話にも、いろんな手法がある。さて、「五郎とその母」はどんな物語なのか。

 

 

 

 

【あらすじ】

鎌倉時代の名人といわれた刀鍛治、正宗の少年時代の話。名人行光の子、五郎を、実子がかわいい継母はいじめる。とうとう、継母は五郎を毒殺しようとする。五郎は毒を飲んだら義理の母を人殺しにしてしまうと、自らで命を絶とうと考え、家を出る。継母の実子である弟は五郎のあとを追う。

 

 

【正宗】

日本刀の代名詞となるような名前。「正宗の名刀」として、以降の刀剣家に大きな影響を与えた。

 

 

 

【継母いじめ】

 

継母によるいじめネタは浪曲や昔話によくある。「シンデレラ」とか「白雪姫」も継母モノである。

日本では平安時代の「落窪物語」が最初といわれている。中納言の姫君が継母にいじめられるが、最後に幸福になる話。

浪曲でも、「継母いじめモノ」は定番であるが、不幸を経て最後は幸福になるというのが定番である。

現代では、継父、継母による虐待事件がニュースを賑わせている。継母のいじめは昔からあったが、物語の中の継母はたいていが改心する。改心しない継母は不幸な死に方をするのが因果応報。物語から学ぶことで、虐待が減ることを望んでやまない。

 

 

 

【浜乃一舟×伊丹秀敏】

 

浜乃一舟は、三味線の伊丹秀敏である。

昭和10年佐賀県の生まれ。兄、秀夫の影響で、9歳で伊丹秀子に入門。伊丹秀敏の芸名で13歳で浪曲師として九州の黒崎劇場で初舞台を踏んだ。18年浪曲師として活動した後、三味線に転向、その音締めが買われて、松平国十郎、の相三味線となる。以後、松平洋子、当代東家浦太郎を勤め、10年以上三味線一筋の舞台を勤める。浪曲界の人材不足から、浜乃一舟を名乗って木馬亭で浪曲師としても舞台を勤めるようになると、「五郎とその母」の他、「愛馬の勝鬨」「煙草の吸殻」「男の花道」などを得意とし、その芸に多くのファンが心を動かされた。

これだけの芸と声節があって、何故、秀敏は大看板になれなかったのか? という質問をたまに聞くことがある。理由は簡単である。浪曲黄金時代には、秀敏クラスの名人芸をやる浪曲師がゴロゴロいたのである。