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【浪曲解説】秋色桜

浪曲解説

 

秋色桜

口演・花渡家ちとせ  三味線・馬越ノリ子 

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浪曲には講談が元ネタの話は多い。武芸モノや侠客伝もあるが、市井の人たちを描いた世話モノもある。「秋色桜」は親孝行の話というよりは、親子愛を描いた話である。

女の子が主人公なので、女流講釈師で演じる人も多いが、男性のきちんとした人が世話モノ作品として重厚に演じると、駕籠屋との軽妙なやりとりが際立ち面白さが増幅する。

浪曲でも軽く楽しいネタとしてよく演じられている。

 

 

【あらすじ】

日本橋小網町の長屋で父と二人暮らしの十三歳の少女、お秋が上野に花見に行ったおり、「井の端の桜あぶなし酒の酔」という句を作り短冊に記した。これが上野の門主、一品親王(いっぽんしんのう)の目に止まった。お秋は宮家に呼ばれ、親王のお気に入りとなった。ある日、お秋は父に宮家の立派な庭を見せたいと思うが、父は堅苦しい場に行くのは苦手だと言う。そこでお秋は一計を案じる。

 

 

【上野の山】

上野の山は東叡山寛永寺の寺領。寛永寺は天台宗で、徳川家光の創立、開祖は天海。三代の門主は後水尾天皇の第三皇子、守澄法親王。以後、門主は皇室より選ばれ、「輪王寺の宮様」と呼ばれた。「一品」と呼ばれるのは、皇室で天皇、皇太子の次に高い皇位だから。つまり関東における天皇の代理人のような立場にあった。

お秋を呼んだのは、五代門主の公弁法親王。

 

 

【宝井其角】

お秋の俳句の師匠は、茅場町に住んでいた宝井其角。松尾芭蕉の門下で、芭蕉十哲の一人と言われている。浪曲や講談にも登場する。赤穂浪士の大高源吾と友人で、討ち入りの前日に両国橋でばったり出会う話は有名。

 

 

【秋色桜の由来】

上野の山に京の清水寺を模した清水寺があり、お秋はそこで「井の端の桜あぶなし酒の酔」という句を詠んだ。お秋の号、秋色から、清水寺の井戸端の桜が「秋色桜」と呼ばれた。近くには碑も建立されている。

 

 

【ちとせの秋色桜】

台本の基本は鈴木照子の口演で、脚色は吉野夫二郎だが、講談でよく演じられているネタのため、講談から多くを参考に、ちとせが加筆した。